2015年10月8日、現代戯曲イベントの第三弾として、第56回『本読み会・イヨネスコ』を開催、名作『犀』を読みました。
第56回『本読み会・イヨネスコ』開催レポートはこちら!
さすが不条理劇、解釈も一筋縄ではいきません。「これはどういう意味?」「私はこう思う」といろんな意見が飛び交って、会は非常に盛り上がりました。
ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました。
このページでは、当日参加できなかった方にも会の雰囲気を味わっていただけるよう、参加者からの感想などをまとめて掲載します。ページ下部からコメント投稿もできますので、ご参加いただけなかった方もコメント等いただけたら嬉しいです。
◯参加者からの感想
参加者からいただいた感想を、一部抜粋してご紹介いたします。・初めて聞く作者で、初めて読む戯曲。初めての参加と、初めてづくしの本読み会はとても楽しかったです。演技の勉強を始めたばかりで、感情を出す事がまだまだまだなのですが、皆さんの熱に引き込まれて違う自分に出会えたみたいです。
・本を読むだけではなく、不条理劇とはなんぞや、オーケストラボックスの歴史、作者は何を言いたかったのかという意見交換など、本当に楽しい時間でした。
思えば、私が一番最初に御会に参加させていただいたのは、ペケットの作品のときでした。今でも、面白さに衝撃を受けたことを鮮明に覚えています。
「ストーリーはなくて、シーンが描かれている」そう教えていただき納得しました。私は(素人考えですが)答えがない不条理劇が好きなんだと。①大局的な視点から描かれた時代の世の中(世論)を考え、②作者は何を言いたかったのか考え、その上で、③分からないなりに与えられた役の人物像を考え、どう演じようか考えながら台詞を読む。そして、読み終わった後には、④次に読む時は、違う理解の下で台詞を読む自分を感じる。
本当に楽しいです。
・イヨネスコ『犀』。以前観た「禿の女歌手」や「椅子」に比べてずっとわかりやすいスジがあって、かみ合わない個々の会話が他に影響されてなんだか噛み合ってしまったり、大勢で読むと場面が浮かび上がって面白かった。前半はコントみたい!現実の会話もけっこうこんなもんだよなあ。あれ、ウチだけ?!
・不条理演劇、今まで苦手だったけど、イヨネスコの『犀』はめちゃめちゃ面白い!不条理で面白いって思ったの『セツァンの善人』くらいだったから今日は本当に満足!
・戯曲を読むというのは初めての体験で、本当に勉強になりました。家で黙読するのとは違って、皆で掛け合いをしていくことで、どんどんその人物に感情移入ができて、楽しくて楽しくて、あっという間に時間が過ぎていきました。勉強不足なもので皆様の話に中々ついていけず、なるほどーと頷くことしかできなかったのが一つ残念ではありますが、また是非参加させていただきたいです。本当にありがとうございました!!
たくさんのコメントありがとうございました!
さて、最後にもう一匹からコメントが届いております。
◯よみたんの感想
『ぼくは主役になれない』こないだ、イヨネスコおじさんの『犀』って本を読んだよ。ぼくはね、イヨネスコおじさんに言いたいことがあるよ。
なんで犀なんだ!
うさぎの方がずっとかわいいぞ!!
ふわふわ、もこもこなんだぞ!!!
ふぅ・・・言いたいことを言ってやったぜ・・・。
でもさ、ちょっと想像してみたんだけど、イヨネスコおじさんが『兎』ってタイトルで作品書いてて、だんだん街の人たちがうさぎになっていっちゃう内容だったら、全然意味変わってきちゃうなって思った。
だってさ、まずさ、『犀』の中ではさ、最初に犀が出てきた時、猫が踏み潰されちゃって死んじゃって、それで街の人たちが怒るんだよ。「これは許せん!」とか言って。
でも、それがうさぎだったら、猫死なないもん。
さらにさ、この戯曲の面白いとこって、ツノとか生えてて、皮膚もゴワゴワで、シワだらけの犀なのに、街の人たちがだんだん犀になることに惹かれていってしまうってとこだと思うんだよね。
読んでる方も、「なんでだよ!犀になるなんてどこがいいんだよ!」って最初は思ってるんだけど、だんだんだんだん、「あれ?でもこの気持ち分かるかも・・・」ってなってくとこが面白いんだと思うんだよね。
でも、それがうさぎだったら、「うさぎになりたい!」って思っても、当たり前になっちゃうもん。だってラブリーだからね、うさぎは。
だから、やっぱりこの戯曲は『犀』でなくちゃいけないのかも。イヨネスコおじさん、あんたやっぱりやるね。
・・・でもさ、これ読んでて思ったんだけどさ、人間って実はとっても弱いよね。
だって、犀になりたいって思った人たちはさ、多分、みんな孤独になった人たちなんだ。
孤独になって、自信がなくなって、ちょっとグラグラした時に、醜悪だけど力強さがあって、許せないことしてるのに連帯が感じられる、そんな奴らが目の前にいると、ふらふら〜ってそいつらに同調しちゃう。
みんな頭では「ちょっとおかしいかも」「ちょっと危ないかも」って思ってるのかもしれないけど、ふらふら〜って犀になってっちゃう。
うん、人間って本当に弱いな。うさぎであることに誇りを持ってる僕たちを見習ってほしいよ!
そこいくと主人公のベランジェって人は、すごくグラグラしているけれど、「ぼくは最後まで人間でいる、負けないぞ、絶対に・・・」って最後に言ってる。
きっとイヨネスコおじさんは、いろいろあっても、最終的にはこの一言が言いたかったんだろうなと思ったよ。おじさんにも、アツい「うさぎ魂」が流れてるね!
みんなも是非この戯曲を読んで、自分は人間でいられるかどうか考えてみてね!
よみたん