活動11年目にして新しい試みです。一年以上の長期に渡って開催するイベントを企画しました。その名も『読んで楽しい!現代戯曲』。以下、詳細です。
『本読み会』長期開催イベント
『読んで楽しい!現代戯曲』
皆さんは「現代戯曲」って何年くらい前のものまで入ると思いますか?例えば、『本読み会』と同じような戯曲の読書会である「古典戯曲を読む会」さんは、古典戯曲を「作者がすでに亡くなっている戯曲」と定義して活動しておられます。
古典戯曲でないものがただちに現代戯曲に分類される訳ではないでしょうが、この分け方は、ただ分かりやすいというだけでなくて、演劇の本質にも関係しているような気がします。つまり、複製がきかない、生ものである演劇にとって、「目の前で見られるものだけが現代である」という考え方は、決して見当違いのものではないと思うのです。
でも、すでに亡くなられた劇作家さんの名前をいろいろ思い返すと、この方の作品は現代戯曲ではないのか?と感じる方もいらっしゃいます。例えば、これまで『本読み会』でも取り上げた井上ひさしさんやつかこうへいさん、さらに言えば、チェーホフの作品だって現代戯曲って言えるんじゃないの?と私なんかは感じてしまうのです。
それはもしかしたら、彼らの作品が今でも上演されていて、「目の前で見られるもの」だからかも知れません。でも、シェイクスピアやギリシャ悲劇は(どんなに現代的であっても)、やはり現代戯曲だとは思えません。じゃあ、劇中で描かれている世界の時代が現代であるものが現代戯曲なのでしょうか。いえいえ、井上ひさしさんの『藪原検校』は江戸時代を舞台にした戯曲ですが、あれは間違いなく現代戯曲だと思うのです。
じゃあ、一体、「現代戯曲」ってなんなのか。
その疑問について、のんびり考えていってみたいと思い、今回のイベントを企画してみました。
・『読んで楽しい!現代戯曲』の時代区分
今回のイベントでは便宜的に、「現代戯曲」を1945年、第二次大戦以降の作品としました。その上で、現代戯曲を二つの時期に分けてみました。それがこちらです。第一期 〜戦争が終わってから、パソコンが出るまで編〜
第二期 〜パソコンが出てから、今日まで編〜
なんとなく私の個人的な感じなんですが、1970年〜80年頃までの作品とその後の作品では「ちょっと違うよな」という感じがするのです。そこで、世界初の個人用コンピュータ(パソコン)が発売された1975年を境に、2つの期に分けてみました(パソコンが世界に与えたインパクトを考えると、ここで分けてみたら戯曲にもなんか違いとか見つかるんじゃないの?みたいなズルい考えも大いに入っています)。
・具体的に何をやるの?
いろいろと難しいことを言いましたが、基本的にはいつもの『本読み会』と同じです。戯曲を読んで、楽しむ。それだけです。ただ、読む作品をしばらく現代戯曲に絞って、「これって現代戯曲かしら?」とか言いながら本読みしていければと思っています。毎回の本読みの中で、主宰である我々が感じたこと、参加者の方々が感じられたことなどは、このホームページや印刷物など、何かしらの形でフィードバックしていきたいと思います。マンガとかいいかもしれませんね。現代的だし。誰か描ける人いないですかね。
また、これまで扱った作家の中でも、上記の区分に該当する作品はたくさんありますので、そうした作品についても、本読みではない形で、改めてご紹介していければと思います。
イベントが全て終了する頃に、「現代戯曲ってこんなものかな」というイメージができていれば、めっけもん。できていなくてもそれはそれで良しでしょう。
・今後の流れ
早速、次回の第54回『本読み会』から、現代戯曲を読んでいきたいと思います。そこから、大体来年の頭頃までは、第一期〜戦争が終わってから、パソコンが出るまで編〜の作家を取り上げていって、その後、また同じ程度の時間をかけて、第二期〜パソコンが出てから、今日まで編〜の作家を取り上げていきたいと思います。
途中で「どうしても古典作家読みたい!」とか、「古典作家を読むことが現代戯曲理解の鍵だ!」みたいな事態になったら、少し古典も混入するかもしれません。フレキシブルに対応していきたいと思っています。
参加者についても、いつも通り、毎回募集します。もちろん全部の回に出なくても構いませんし、「毎回出たいんだけど出られなかった」という方にも楽しんでいただけるように、出なかった回についても何かしら報告できるような、丁寧なフィードバックをしていきたいと思います。
イベントのご案内は以上です。
イベントに関するご意見ご感想ご質問アドバイスなど、どんどんいただければと思います。
それでは。
『読んで楽しい!現代戯曲』特集ページはコチラ!
(大野)
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