現在、巷では空前の読書会ブームが来ているとか、いないとか。
そんな今、東京都内に戯曲を対象とした読書会って、いくつあると思いますか?
多分、4つです。
(『本読み会』、古典戯曲を読む会、カトレア読書会、戯曲を読む会)
片手に余ります。
いやー、戯曲を声に出して読みたいって人はそんなに少ないんでしょうか。
・・・まあ、そうなんでしょう(笑)。
さて、そんな数少ない戯曲の読書会の中でも、代表的存在であり、我が『本読み会』最大のライバル(と勝手に思っている)なのが、今日ご紹介する
「古典戯曲を読む会@東京」です。
実は先日、この「古典戯曲を読む会@東京」に、私(大野)が参加させていただいたので、今日はそのご報告をさせていただこうと思います。
まずは最初に「古典戯曲を読む会」について、簡単にご紹介を。
(当日配られた資料と公式ブログを参考にさせていただきました。)
「古典戯曲を読む会」って?
戯曲や演劇に興味を持つ人たちが集まり、戯曲を声に出して読む会です。会員制ではなく、特別な参加資格も必要なし。あくまでも自由参加のゆるい集合体。参加費は基本的に無料で、参加されている方たちは、演劇好き、文学好きや、演劇に実際に携わっている方が多いようです。この辺は大体『本読み会』と同じですね。
会で取りあげる作家は「次はこれを読みたい」と手を挙げた人が「ホスト役」になって決められているとのことで、現在では、積極的に「ホスト役」をやる常連の4名が「世話役」となって、ネット上での告知や会場の手配、テキストの用意などを担当されているようです。
この辺りのシステムは『本読み会』とはかなり違いますね。「主宰者」という存在がない分、”参加者一人一人が会を作っていく”という雰囲気が強いのではないでしょうか。とても参考になります。
ところでこの会、何と静岡、名古屋、大阪にも拠点があるようなんですよ!
あくまでも自主的なサークル活動として、本部-支部というような組織的なつながりはないようなんですが、人的な交流はあるとのこと。
なんだ、結構戯曲を声に出して読みたい人っているんじゃないか・・・!
『本読み会』も各地に出来ないかしら・・・。うらやましい・・・。
公式ブログの情報によれば、「古典戯曲を読む会@東京」は2006年の12月から活動を開始し、その後ほぼ一月に一度のペースで開催されているようです。活動を開始したのは『本読み会』の方が早いですが、毎月ペースの開催の為、開催数は70回超とこちらの方が圧倒的に多くなっています。
この開催ペースは驚異的です。ホントにすごい。この辺りが、毎回ホスト役が違うということの最大の利点だと言えるのではないでしょうか。
現在まで取りあげた作家には、『本読み会』でも過去に取りあげている超有名作家の他、かなりマニアックな名前も並んでいて、ホスト役の方々の多様な趣味が反映されている様子。ここにもホストシステム(勝手に命名)の利点を感じました。
ちなみにこの会における「古典戯曲」の定義は、「作者が死んだら全て古典」だとのこと。井上ひさしもハロルド・ピンターも亡くなった今、妥当な定義かもしれません。
さて、ここからは先日実際に参加した会のレポートです。
開催日時
5/18 19時~21時
開催場所
早稲田大学戸山キャンパス内の教室
作家
岸田國士
作品
『葉桜』『屋上庭園』
時間に少し送れて会場になっている早稲田大学の教室に入ると、ロの字に並べられた長机。『本読み会』と似た雰囲気にホッとします。世話役の方のお一人が、早稲田大学で教えられているとのことで、会場は同大学内が多いとのこと。会場代がかからないため、参加費を無料に出来ているのですね。
まずは簡単に「古典戯曲を読む会」の紹介がなされ、その後、参加者の自己紹介が始まります。この辺も『本読み会』と同じ流れですね。参加者は11名で、10代から60代までと幅広く、男女比も7:4といい感じでした。(ちなみに過去に『本読み会』に参加してくださった方が中に2人。やはり「戯曲を声に出して読む業界」は狭い業界のようです。)
自己紹介が終わり早速本読みに入ります。今回は日本の劇作の父、岸田國士の短編戯曲が2本。最初は『屋上庭園』から。
この会では毎回ホスト役が進行方法も考えるとのことで、まずはホスト役の方が最初に読む箇所を指定し、役を割り振って・・・すぐに開始します!
実は僕、ここで少し驚きました。
何故かと言うと、指定したページが3ページ程だったんです。
『本読み会』ではある程度まとまった分量を一気に読むので、とても短くシーンを区切って読むことに驚きました。
役を決めるのに時間がかかってしまうと、戯曲の流れが止まってしまわないかな…とも思ったんですが、そこは着席順で時計回りに役を割り振っていくことで、スピーディーに進行していました。なるほど。
さて、短編戯曲だということもあり、1本目がすぐに読み終わります。
世話役の方たちが作品に対する感想を語るとそれが呼び水となり、他の参加者からもいろいろと感想が語られ、議論が生まれます。
ここで感じたのは、『本読み会』で読んだ時に比べて、戯曲を「読み物」として捉えた感想が多いということ。もしかしたら『本読み会』では、実際に演劇活動をしている主宰二人が、戯曲を「読み物」としてより「演じる物」として捉えてしまっていて、話の流れを作ってしまっているのかも知れません。
古典戯曲を読む会@東京の世話役の方達は、より観客として演劇に接していると思うので、そういった流れが出来ているのではないでしょうか。皆さん自由に発言しやすそうな雰囲気で、非常に関心しました。演劇の細かくてつまらない話をしたがる我々は、反省しなければなりません(笑)。いやー勉強になります。
一通り感想が出たところで休憩をとり、その後は同じ流れでもう1本の短編『葉桜』を読み、会は終了しました。(どちらかというと『葉桜』の方が盛り上がった気がします。とてもいい戯曲ですね、『葉桜』は。『屋上庭園』も良いですが、『葉桜』の方が僕は断然好きです。)
会が終わってみての感想は、「すぐに終わった!」ということでした。
もちろんとても楽しい時間だったので、短く感じたというのもあるのですが、一回の開催で4時間読む『本読み会』とは、終わった後の疲れが違います(笑)。
この時間の違いはかなり大きな違いでして、例えば作品の選び方(古典戯曲を読む会ではやはり短編が多く、長編の場合は複数回に分けて開催している様子です。)や、参加者の利便性(短ければ短いほど参加はしやすいでしょうし、夜の開催が可能になるので、仕事帰りの方が参加しやすいと思うのです。)に影響すると思います。
どちらも一長一短だとは思うのですが、短時間開催の長所を実感することが出来ました。
また、普段は主宰としていろいろと気を揉みながら読んでいる(そうは見えないでしょうが、これでもいろいろ考えているのですよー)ので、純粋に参加者として楽しめたことも、大きな喜びでした。うん、また参加しよう。
あ、そうそう、会の終了後は参加者の方達とお酒を飲みに行きました。これが夜開催の最大の利点かも知れませんね。いろいろと楽しい話、興味深い話が聞けて、大満足の夜でした。
以上で「古典戯曲を読む会@東京」のご紹介は終わりです。
とても楽しく参加しやすい会だったので、興味を持たれた方は是非参加してみてはいかがでしょうか。次回は6月22日(土)開催とのことでした。
そしてもちろん『本読み会』もどうぞご贔屓に。
もうすぐ情報を公開する予定ですが、次回『本読み会』は6月30日。作家はソーントン・ワイルダーの予定です。
どうか「戯曲を声に出して読む」ファンが増えますように!
(「古典戯曲を読む会@東京」の皆さん、どうもありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。)
大野遙
ご参加いただいたうえ、詳しいレポートありがとうございます!
古典戯曲を読む会はホストによってかなり雰囲気が違います。この前のホストの方はきっちり段取りきめてやる感じですね。
先月、私がホストやったときはだーっと読むだけでした。
戯曲を読む会、他にもあると思います。
興味ある人は多いと思うのですけれど、宣伝があまりなかったり、限られたメンバーでひっそりやっているところが多いように想像します。古典戯曲を読む会は、なるべく開放して、ある程度人の流動性があるような感じでやっていければいいなと思っています。今後もよろしくお願い申し上げます。
私もまた本読み会に参加させていただきます。
片山さん、コメントありがとうございます。
そうですね。『本読み会』もHPを作るまでは、ほぼ身内だけでひっそりと活動していましたし、どこかに戯曲を読んでる人がいることでしょう。
こちらこそよろしくお願いいたします。
ご参加お待ちしています。
こんばんは!
名古屋の読む会の管理人をさせていただいています山本麦子と申します。
本読み会のお話は片山さんからお伺いして気になっていました!機会がありましたらぜひ参加させていただけたらと思っています(^^)。
名古屋では、まだ戯曲に興味を持つ方が芝居人でもなかなか多くないため、近場で上演される公演の関連戯曲や美術館の企画展等と絡めたりして毎回必死で参加者を募っています(;^_^A
機会がありましたらぜひ一度名古屋に観光がてら遊びにいらしてください\(^^)/♪
初めまして。コメントありがとうございます。
参加者集め、毎回ハラハラしますよね(笑)。
こちらはHPを開設してからだいぶ人が集まるようになりましたが、最近また落ち着いてきた様子なので、劇場にチラシでも入れようかなと考えています。
古典戯曲を読む会@名古屋のブログ、拝見しました。
イベントの立て方、勉強になります。
ビブリオバトルとかとても面白そうなので、こちらでもやってみようかしら。
@名古屋、是非参加してみたいですね。機会を伺ってみたいと思います。
山本さんも、是非一度『本読み会』にいらして下さいね。
ビフィズス菌…じゃない、ビブリオバトルに反応していただいてありがとうございます。
名古屋の演劇層はやるひと=見るひとになってしまっているので、
他のジャンルとコラボすることで芝居見る視野を広げたり、
逆に本やアートに関心があるかたが芝居に触れるきっかけを、と考えて企画しています
ボソボソとした活動ですがどうぞよろしくお願い致します。