雪の舞う2月は受験シーズン。十数年前、私は国語、英語、日本史の3科目で大学を受験しましたが、実は世界史を勉強してみたかった…。日本史を教えていた女教師がエロいからという不純な理由で…!
ようやく大人になったので、こないだジュンク堂の学習参考書コーナーでふと『もういちど読む山川世界史』を買ってみました。こういう戯曲を読んでから世界史の教科書なんかを開くと、人物が生き生き動き出してくるんだろうなあ。
というわけで、2018年の『本読み会』は、毎度おなじみシェイクスピアで幕を開けました!
創設以来、年の初めはシェイクスピアに向き合って、心新たにページをめくる伝統を守っております。ちなみに過去の活動を紐解くと・・・去年はチェーホフ『ワーニャ伯父さん』を読んでいますね・・・。その前の年は・・・特にやっていないですね・・・伝統はどこへいったのでしょうか。
シェイクスピアの誇る数々の悪役—イアーゴー(『オセロ』)、マクベス(『マクベス』)、シャイロック(『ヴェニスの商人』)・・・中でも、リチャードは筋金入りの悪党です。
「どうしてこの人、こんなに人間曲がっちゃったんだ?」の心配をよそに、兄弟を陥れ、子供を手に掛け、忠臣の息の根を止める。リチャードは決して夢を見ず、誰も信用しない究極のリアリストです。
と同時に、リチャードほど観客に愛される役はそうそうありません。悪魔が魅力的であるように、悪役もまた禁断の果実をちらつかせて私たちを誘惑するのです。夢を見ないリチャードは、現実に夢を見ることを恐れる私たちの姿そのもの。観客は、もしあんな風に生きられたら…とリチャードに惹かれながら、自らの心に潜む暴力的な欲望を暴かれていくのです。
私は『リチャード三世』を何度も読んだことがありますし、国内外での上演も数多く観てきました。しかし、今までリチャードの傍若無人ぶりに隠れて見落としていたのか、今回の読みでは女性たちの罵り合いにハッとする場面が多かった。
マーガレット、エリザベス、アン・・・一度栄華を味わった者たちがその座を明け渡し、次に居座るものに口汚く呪いの言葉を吐きかける。もしかしたら、この戯曲は呪いの連鎖が生み出す悲喜劇なのかもしれません。
あまりに次から次から呪いの言葉が飛び出してくるので…残念、今回は全編読みきれませんでした。参加者の皆さん、全国のシェイクスピアファンの皆さん、せっかくなので最後まで読んでみてください。
しかし、世界を見渡せばリチャードみたいな暴君があちこちに見られるようになりましたね。現実に追い越されないように、戯曲の方もせっせとページをめくっていきたいものです。
今年も『本読み会』をよろしくお願いします。
(松山)