「『本読み会』リーディング・ライブ in 岸田國士を読む。夏2017」レポート④





レポート第四弾は、ト書きを読んでもらった西村俊彦さんに執筆いただきました。ト書き哲学を感じます。

レポート第一弾(大野)
レポート第二弾(松山)
レポート第三弾(清末)




ト書きの人・西村俊彦です。
そんな大層な事は書けませんが、今回「ト書きの人」として参加しました感想など。

 

今回の『本読み会』リーディング・ライブでの特徴の一つとして、
「ト書きも全て読む」
というのがありました。

さて、「ト書き」とはなんなのか…

辞書によりますと

指定の言葉が「…ト両人歩み寄り…」などと「ト」ではじまる、歌舞伎脚本から起こった語】
脚本で、せりふの間に、俳優の動き・出入り、照明・音楽・効果などの演出を説明したり指定したりした文章。

とあります。
小説で言えば、台詞でない「地の文」にあたるイメージでしょうか。
台詞を中心に構成されている「戯曲」ですから、小説ほど分量はありませんが。

という訳で、今回「ト書き」を読む人として参加した訳ですが、私なりに心がけた点や思った事を二三書きます。

 

【俳優の邪魔にならないようにする】

これはもっとも気を遣ったところかもしれません。
俳優が台詞を喋っている間に
(激しく)
とか
(途方に暮れて)
とか挟まってるんですが、これ、どうしても音声化すると、俳優のリズムを崩しかねない。

餅つきの餅まぜる役(あれはなんて呼ぶのでしょう?)のように、俳優のリズムに乗って差し込んでいく。これがなかなか難しくも面白い。

俳優にもお客様にも心地よく、餅を、混ぜる。
おいしいお餅がつけましたでしょうか?

 

【少しの情感を持たせる】

ト書きや、朗読の地の文、となると、
「ただ良い声で喋っている」
という例が結構見られます。
そうでなくても、イメージとして、
「良い声で平坦に喋るのが朗読」

「つまらない、眠い」
みたいなイメージが蔓延してると感じております。
私は、仕事でナレーターや朗読講師もやってるので、そういうイメージと戦い続けている訳です。

良い声で読んでるだけでは、ただの音。やはり言葉には質感・情感・イメージを持たせたい。
(激しく)ならば若干の激しさをこめて、
(途方に暮れて)ならば少し途方に暮れて、
読んでいきたい、というのが私の流儀です。

高い場所にあるものを「あれ」
と呼ぶ場合と、
低い場所にあるものを「あれ」
と呼ぶ場合と、
やはり音から何から違ってくるのが人間。
そういう、言葉の持つ動き・情報量・想いを、排除せずに読んでいく。

ただ、これをやり過ぎると、
主張し過ぎの、
タルタルソースみたいな濃い味の、
説明しすぎの、
聞いてて疲れる物になってしまったりもするので、
そこはバランスを取るのがなかなか難しい。
稽古中にも一度、松山さんに
「濃い口になりすぎてるかも」
とご指摘をいただきまして。

これはなかなかに難しい。
夢中になるなかにも客観性を、大事にしたいものです。
皆様はどんな味付けがお好みでしょうか。

 

【ト書きは岸田國士のツッコミのような気がする】

さて、ト書きを読んでて行き当たるのは
「お前は何者か」
という問だと思います。
朗読でも、「地の文」というのはなかなかに幅広く、

・作者の視点(神の視点、とも)
・登場人物の視点
・作者の内面
・登場人物の内面の視点

などなど、様々な「立場・視点」から「地の文」が紡がれます。

このような、色々な視点をカメラワークのように切り替えて音声化していくのが朗読の醍醐味な訳ですが、今回ト書きを読んでいて、
「人物にツッコミを入れる岸田國士」
というト書きの質感が、結構あるのでは、と想い至りました。

同じ(間)でも、

(間)「あーあ、どうすんのこれ…」

(間)「ほんとに馬鹿ですねぇ…」

(間)「ドキドキ」

などなど、様々な岸田國士の声が聞こえてくるような思い。
とかく皮肉めいた物が多いようなイメージもありますが、それでもずっと人間の感情から離れず、寄り添い続ける岸田國士。
暖かいおじさんだったんだろうな、と思います。

「ト書き」と一くくりに言っても、差し挟むト書きの分量は作家により様々。
オニールなんかは、「ト書きのお化けか!」ってくらい、細かく「怒って」とか「絶望して」とか挟んでくるイメージがあります。

岸田國士は、
「好きにやりなさい、ヒントは出しとくから」
くらいの分量に思えます。

 

大層な事は書きません、という割には、分量が多くなってしまいました。
「声に出して読むと発見が多い」
のは、戯曲はもちろんですが、小説でもなんでもそうです。

声に出して、色んな物を読んでいく。
文学をより味わうための、絶好のスパイスですね。

 

最後にちょっと宣伝。
私、YouTubeで朗読のチャンネルをやっております。
色んな作家の作品を、声にしてネット上にアップしておりますので、
ご興味ある方は聞いてみて下さい。

西村俊彦の朗読
https://www.youtube.com/user/byoubyouleo

また、9月の頭から、一人芝居のミュージカルをやっております。
そちらの予告動画はこちら。
https://youtu.be/lETCV2Lc4kE

その他最新情報など、ブログ等ご覧いただければ幸いです。
http://blog.livedoor.jp/byoubyoubyou/

(西村)

 

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「『本読み会』リーディング・ライブ in 岸田國士を読む。夏2017」レポート④」への2件のフィードバック

  1. inaba

    西村さんのト書き読み、味わい深くて癖になりそうでした!
    また聴きたいです。

    返信

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