皆さん、明けましておめでとうございます。大野です。
2017年最初の、そして久々の”傍白”更新です。
昨年末の大晦日更新の記事でもお伝えしましたが、現在主宰の一人、松山がイギリス滞在中でして、私もちょっとロンドンに遊びに行ってやろうかと、11月に1週間の観劇旅行に行って参りました。
実はロンドンには5年前にも松山と観劇旅行をしておりまして、私は今回が二度目です。ちなみに松山は学生時代にはロンドン演劇留学、その後も何かとロンドン旅行をしているので、もっとずっとロンドンっ子です。生意気ですね。
※ちなみに、前回のロンドン旅行の関連記事や、以前掲載した松山のロンドン滞在記などはこちらです。
3.11と「埋められた子供」~第40回『本読み会/サム・シェパード』レポート
松山立のイギリス観劇旅行記①
松山立のイギリス観劇旅行記②
松山立のイギリス観劇旅行記③
松山立のイギリス観劇旅行記④
イギリスと言えば、やはり演劇です。
今回はまる8日間の滞在で、計7本の芝居を観てきました。前回もロンドンの芝居のレベルの高さには驚かされましたが、今回は本当に圧倒されるような7日間になりました。行ってよかった・・・。
百聞は一見にしかず。私のレポートを読んだところで何の意味があるものかとも思いますが、せっかくの体験を独り占めしておくのも勿体無いですので、前後編の2回に分けて、劇場や観劇文化、私が観た芝居などについて、感じたことを書いていってみようと思いました。
今回は、ロンドン観劇レポート前編。まずは劇場や観劇文化などについて書いてみたいと思います。
追記:その後、ロンドン観劇レポートは前・中・後編の3部仕立てになりました。
→ロンドン観劇レポート中編:観劇ガイド編
→ロンドン観劇レポート後編:芝居の感想編
イギリスの演劇文化
さて、ロンドンには芝居の広告がたくさん出ています。地下鉄のポスターは、映画のものより演劇の方が圧倒的に多いですし(というより、貼ってあるポスターの半分くらいが芝居と言ってもいいくらい!)、ロンドン名物の二階建てバス(赤いヤツ)の車体にも、よくミュージカルの大きな広告が出ています。夜の地下鉄に乗ってみれば、いろいろな芝居のプログラムを持った方(ソワレ観劇後のお客さん)を見かけますし、テレビをつければ小学校での演劇教育に関するニュースをやってたりします。
とにかく街中のあらゆるところにお芝居の存在が感じられて、演劇が文化として人々の生活に溶け込んでいることがよく分かります。いやー、羨ましい。
劇場について
そしてもちろん、ロンドンの街には劇場もたくさんあります。少しご紹介しましょう。まずは近代的な、カッコいい劇場。今回はナショナルシアターやバービカンシアターなどに行きました。
上の2枚はナショナルシアターの外観です。暗くてよく分かりませんが・・・近代的な建物です。
中にはいくつか劇場が入っていますが、私が『アマデウス』を観たオリヴィエシアターはこのような感じでした。
ギリシャ古代劇場型の、すり鉢状の劇場ですね。傾斜がかなりついて、劇場機構としてはかなり良いものです。音がよく通る。やはり近代的な劇場は、機能的ですね。
しかし、やはり印象的なのは、クラシカルな外観の劇場です。
例えばギールグッドシアターや・・・
オールドヴィックシアターなど。
カッコいいですよねー。「特別な時間を過ごせる、特別な場所」という感じがします。
こういった劇場は、内部機構も特徴的です。
上の2つの劇場とも、舞台装置はかなり現代的なものですが、客席はクラシカルな造りになっていますね。プロセニアムアーチ(舞台の額縁)に面した客席は、Stalls(いわゆる平土間)、Circle(いわゆる桟敷席)に分かれています。座席表にするとこんな感じ。
柱や壁面など、装飾も凝っています。よい写真がなかったので、こちらは参考資料でご紹介。
いかがですか。客席の方が舞台装置のようですよね。私などは、客席に座るだけで、気分が盛り上がってしまいました。
最後におまけとしてもう1枚。今回観劇はしなかったですが、前を通りかかったので、憧れのヤングヴィックシアターの外観写真も撮っておきました笑。
こちらは「小劇場」「スタジオ」といった雰囲気が漂っていますね。ここでも観たかったなぁ。。
観劇文化について
小さい頃からお芝居と一緒に育ってきたロンドンっ子たちにとっては、「劇場」という場所もかなり身近な場所のようです。今回は比較的大きな劇場ばかり回りましたが、開演前も、上演中も、観客は飲食しながら、劇場(芝居)を楽しんでいました。劇場には大体レストランやバースタンドなどが併設されていていますし、幕間の休憩中にはアイスの売り子さんが客席に出てきます。お菓子など持ち込んで食べている人もいました。ちょうど、日本人が映画を観る時のような気楽さを感じましたね。
ちなみにこちらの写真は、『アマデウス』開演前のナショナルシアターのロビー。
ガヤガヤしてますね。みんな酒飲んでたり、ご飯食べてたり、パーティー会場のような雰囲気です。
次は、『アマデウス』休憩中の客席の様子です。
ボケボケ写真でよく分かりませんが、右側のおっさんは持参した水筒を手に持ってます。中身は紅茶でしょうか・・・。
次は、幕間休憩中の私。
滞在中に観た芝居のほぼ全て、ビールを飲みながらの観劇でした笑。
ちなみにこちらは前回(5年前)の旅行の時に撮った、Royal Shakespeare Theatreの開演前のロビーの写真です。
右下見ると、この時もビール飲んでますね笑。
私は飲み食いしながらの観劇が大好きなので(ちなみに『本読み会』のこれまでの公演は全て飲食可でやってきております)、この点だけでもロンドン最高!と思ってしまいますね。
観客について
観客層は、老若男女全ての層が揃っています。高校生くらいの子達がお菓子持って来ていたりもしました。ホントに映画鑑賞のノリですよね。観劇が文化として定着していることが伝わってきます。お客さんの観劇のマナーは総じて良かったです。マナー悪いな、と感じる人はいませんでした。客席などではお客さん同士声を掛け合っていて、皆が気持ちよく過ごせるようにしています。すごくいい雰囲気でした。
でも、これは劇場に限ったことではないですね。イギリス人は、礼儀正しく、親切です。さすが紳士の国ですね。
開演前や幕間などはワイワイガヤガヤ楽しそうに話していますが、一旦上演が始まれば、音はほとんど立てません。ただし、笑いは別。日本と大きく違って、イギリスの観客は芝居を見ながら本当によく笑います。リラックスして観劇していることが伝わってきました。
観客の様子は、大体そんな感じです。
以上、ロンドン観劇レポート前編として、私が感じたロンドンの演劇文化についてご紹介しました。
伝統がありながらも決して堅苦しくならず、めいめいがリラックスして演劇を楽しむ姿に、演劇文化の成熟を感じます。みんな演劇を愛していて、一つ一つの作品を皆で大切に味わっているんだな、と感じました。
日本でも、そうした成熟した演劇文化が花開くと良いですね。『本読み会』も、そこに少しでも貢献できるよう、地道に活動していこうと思います!
さて、ロンドン観劇レポート後編は、私が観た芝居について書いてみたいと思います。乞うご期待!それでは。
追記:その後、ロンドン観劇レポートは前・中・後編の3部仕立てになりました。
→ロンドン観劇レポート中編:観劇ガイド編
→ロンドン観劇レポート後編:芝居の感想編
(大野遙)
貴重なレポートありがとうございます。
このページは保存します!
貴重な記事ってほどのものではないですが笑、楽しんでいただけたなら良かったです。後編もお楽しみに!