第50回『本読み会』レポート&10周年のご挨拶

IMG_1550「すぐに辞めちゃうとカッコ悪いから、最低でも10年続けよう」とページをめくり始めて、いつのまにか10年。なんで10年にしたのかもう思い出せませんが、ともかくたどり着きました。10周年。そして第50回。



記念の回ということで、今回はいつもと趣向を変えて、『本読み会』が歴代読んできた戯曲の中から名場面を抜粋してお届けしました。

主宰二人で選んだのは、

「愛の台詞」

「怒りの台詞」

「謎の台詞」

「独白、傍白」

「いい台詞」

の5種類。「いい台詞」というのは、主催者の大野と松山がとにかく「いいね!」と思ったオススメの場面です。

タイトルは隠して、読んだ後で「さて、これは何の戯曲でしょう?」というクイズ形式を取りましたが、名作はタイトルを隠されてもやはり名作。普段戯曲を並べて読む機会はなかなかありませんが、どれを読んでも、「その作家にしか書けない戯曲」を目の当たりにすることになりました。なるほど、作家性ってこういうことなんだ。次々に出てくる名場面をむさぼり読みながら、さながら戯曲のフルコースを食べているようでした。

戯曲でお腹いっぱいになったら、今度は酒です。本読みの後は、ちょっと早い忘年会。『本読み会』では「本のことは忘れて飲もう」ということで「忘本会」と読んでいますが、酒のつまみの話題は戯曲のことばかり。とりわけ「声に出して戯曲を読む機会がない!」という悩みをお持ちの方がなんと多いことか。悩める世のため人のために活動している気は毛頭なかったのですが、たしかに、『本読み会』が10年前に発足したのも、「一人で読んでると飽きそうだから」が大きな理由でした。また、別の人が読むのを聞けるのが本読みの魅力です。「この場面、そんな感じだったの!?」。これが醍醐味です。

今回、50回目の開催を機に、これまでの『本読み会』で読んで来た戯曲を成立年代順やジャンル別にまとめる作業に取りかかりました。振り返ってみれば、古今東西、あらゆる時代、あらゆる国、あらゆるジャンルを読破してきたことに、少し気が遠くなるような感覚に襲われます。

しかし、まだまだこの世界には、ダイヤモンドのように輝く戯曲たちが星の数ほどあり、珠玉の台詞たちは声に出して読まれることを本棚の片隅で待ち焦がれています。私たちに残された戯曲は、劇作家たちがそれぞれの手法を用いて、謎に包まれたこの宇宙をなんとか掴もうとした軌跡に他なりません。

10年間も続けるのは大変だったでしょうというねぎらいの言葉もいただきました。人が集まらなかったり、主宰の片方が外国に行ったり、ホームページ作りに頭を悩ませたり、ビデオが再生できなかったり、なんとなく面倒くさかったりといろいろありましたが、ただ、「これ以上は続けられないんじゃないか」という話には不思議となりませんでした。がんばって続けているという感じでもありません。集まって戯曲を読む。どうせ読むなら声に出した方が面白いに決まっています。10年もの間、みなさんの「声」をお借りして、ただただ面白く戯曲を読んできました。そして、もし私の声も誰かの戯曲になっているならば、これにまさる喜びはありません。

これからも一ページずつ、てくてくと歩くように本をめくっていきたいと思います。読み終わったら、「次は何を読もうか」。こうしていれば、次の10年なんてあっという間です。 この場を借りて、これまで『本読み会』に関わってきた全ての方にお礼申し上げます。 あらためて、今後とも『本読み会』をどうぞよろしくお願いいたします。

松山立

当日お配りした資料です。どうぞご覧ください。
『本読み会』年表
作家分布図
作品年表

image@2x

ご挨拶

一人じゃサボっちゃって全然続かないから、周りを自分の勉強に付き合わせちまえ。そう思って企画したのが『本読み会』でした。とりあえず松山に声をかけたら二つ返事でやると言ったので、「しめしめ」と思ったもんです。そういう経緯があったので、会を始めた当初は結構「ちゃんと読む!」という意識が強かったんですね。「必ず戯曲は一度読んで来ること!」なんて言って、読んでる最中も結構ダメ出しのようなことをしていたような気がします。

ところが、これがどうも良くない。人が集まらなくなってくるんです。僕は一緒に勉強してるつもりだったんですが、僕もそこそこ調子に乗ってる頭でっかちの若者だったので、どっちかって言うと「戯曲を教える会」になっちゃってたんですね。恥ずかしい。自分でも何だか良くないなぁとは思ってたんですが、何回やってみても一向良くならないので、ある時進行を松山に任せてみたところ、これが結構いい。松山という人は、人の顔色に合わせて自分のこだわりでも何でもすぐに捨てられるところがあるんです(褒めてる)。全然「お勉強」なんて感じはなくなって、「ただ戯曲を読むだけの会」になった訳です。今考えてみると、この時ようやく『本読み会』が誕生したのかも知れないですね。

今は、松山が進行を担当して、僕は一参加者としてただ楽しむというスタイルが定着しています。ただただ戯曲を声に出して読む。ただ楽しむ。それが『本読み会』のスタンスになりました。「勉強」はしてないけれど、僕はこの10年で、好きな作品、好きなシーン、好きなセリフがたくさん出来て、「そう!こういう勉強がしたかったんだ!」と今は思っています。

10年間、僕の勉強に付き合ってくださった皆さんに、松山に、大変感謝しております。どうぞこの先また10年、お付き合いいただければと思います。

大野遙

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第50回『本読み会』レポート&10周年のご挨拶」への1件のフィードバック

  1. 平澤健一

    主宰お二方のお話が伺えてよかったです。先日はお疲れ様でした、この場を借りてお礼を申し上げたいです。

    大野さんの仰ることは私もあります。新歌舞伎の脚本とか、鏡花物とかを取り上げた回だとすると、「もっと大芝居にやれよ」とか「なんでそんな淡々とその女形の台詞を言うんだ、もっと幻想的にやれよ、鏡花だぞ鏡花!」とかつい他人さまの読み方に、注文つけたくなってしまうんですよね。

    そのヒトなりの読み方、スタンスを知る会合であるのだ、って思えばいいんだと思いました。

    でも、注文つけたくなってしまうんですよね(笑)

    返信

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