第37回『本読み会・サローヤン』レポート

9月も中旬だというのにまだまだ残暑厳しい中、『本読み会・サローヤン』が開催されました。ウィリアム・サローヤン作『わが心高原に』。実は『本読み会』の設立に深く関わる作家で、私たちとしても感慨深い会となりました。



時は第一次大戦の頃。カリフォルニアに住む父と子のところへ、シェイクスピア俳優と名乗る老人が訪れるところから始まる小さな物語です。登場人物のひとりひとりを通して作者の温かい眼差しが感じられる戯曲ですが、それはひとつひとつの対話自体が非常に優れていることに起因していると気付かされます。

いわゆる「名台詞」があるわけではないのです。しかし、一見なんでもない対話の中に普遍性が流れており、さらに小説家ならではの趣あるト書きが劇世界に彩りを添えます。戯曲は普通、上演されたときに一番魅力的になるはずですが、こと『わが心高原に』に関しては、本を読みながら声に出す、というのが、この作品を一番堪能できる方法なのでは?とさえ思われます。

ところで、外国の戯曲を日本で読むとき、避けて通れないのが翻訳の問題です。今回は倉橋健訳を使いましたが、おそらく加藤道夫もこの翻訳には大きく関わっていると思われます。今読んでも古さを感じさせない、非常にいい翻訳。翻訳者が優れていたというよりも、書いた人間と訳した人間の「文体」が相通じて生まれた作品だったのではないでしょうか。サローヤンはそのような翻訳を通して日本に入ってこられたという意味でも、幸せな作家なのかもしれません。

4時間も本読みをしているとお腹が空くので、帰りは飯田橋のデニーズへ寄ってごはんを。実は終わった後、主宰二人で『本読み会』の広報会議をしようと話していたのですが、せっかくなので参加されたみなさんのお話をうかがおうということになりました。すると男二人で頭を捻っていても一生たどりつかないような発想を次々にいただき、目からウロコが落ちること滝の如し。

そのうち、みなさんからの声がこのホームページにも反映されることと思います。
ご参加された方、どうもありがとうございました。
次回は11月開催のお知らせをお見逃しなく!
(松山)

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