早いもので、「建築家とアッシリアの皇帝」上演まであと1ヶ月を切りました。
『本読み会』ではこれから公演までの期間、「稽古場日誌」として、作品や稽古に関するいろいろな話題を提供していこうと考えています。
今回はその第一弾として、まずは皆様からよく聞かれる質問である「建築家とアッシリアの皇帝」がどんなお芝居なのかということにお答えしていこうと思います。
「建築家とアッシリアの皇帝」は、スペインで生まれフランスを拠点に活躍した不条理作家フェルナンド・アラバールの代表作と言われる作品で、1967年のフランスで初演を迎えました。
舞台は絶海の孤島の森の中。そこに二人の男、建築家とアッシリアの皇帝が暮らしています。彼らはエロチックで狂騒的なごっこ遊びを繰り返すのですが、それがただの空想なのか、それとも過去の記憶なのかは分かりません。
いえ、更に言えば、ここは本当に島の森の中なのか、彼らは本当に建築家とアッシリアの皇帝なのかということすら、二人の繰り返すごっこ遊びの幻想の中では、ぼんやりと見えなくなってきてしまうのです。
ただ一つはっきりしてるのは、二人の男が遊んでいるということだけ。
一体彼らは何者なのか?彼らの遊びの先に何が現れるのか?
他者に認められたい、愛されたいという誰しもが持っている自己愛と欲望を結晶化するように描いたこの作品は、発表から40年以上経った今も現代的で、普遍的な主題を持っていると言えるでしょう。
『本読み会』ではこの作品の上演にあたり、劇中の二人の遊び(play)がそのまま役者二人の芝居(play)になっていくという戯曲の構造の面白さと、現代病とも言える自己愛の病のあり方に焦点を合わせて取り組んでいます。
今後の「稽古場日誌」では、そのあたりの事も掘り下げてお話ししていきますので、楽しみにしていただければと思います。
初日まであと27日。
破廉恥でくだらない、だけど感動的な愛の幻想に遊ぶ
「建築家とアッシリアの皇帝」に
会いに来ませんか?